片頭痛予防薬に新薬が登場しました (アジョビ、アイモビーグ)
これまで片頭痛予防の注射薬はエムガルティのみでしたが、この8月から新たに2種類の片頭痛予防注射薬が使用可能になりました。
☆アジョビについて
片頭痛の原因に関与しているとされるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に結合することで、三叉神経系の活性化を抑制すると考えられています。
2018年にアメリカ、2019年ヨーロッパで認可され、2021年6月に本邦でも承認されました。
◎アジョビの特徴
・ライフスタイルに合わせた2つの投与方法(4週間ごとに1本あるいは12週間ごとに3本皮下注射)が選択できます。
・片頭痛予防薬内服の有無にかかわらず、片頭痛の日数が減少します。
・反復性片頭痛、慢性片頭痛ともに、片頭痛日数が初回投与1週目から減少します。
◎使用方法
①4週間おきに1回1本あるいは12週間おきに1回3本の皮下注射を行います。
②注射部位はお腹、太もも、腕のいずれかです。
③まずは3ヶ月注射を続け、効果判定を行います。
◎費用
保険適応です。3割負担の方で1本12,400円となります。
◎副作用について
主な副作用としては、注射部位反応(痛み、腫れ、かゆみなど)が報告されています。
☆アイモビーグについて
慢性片頭痛予防薬の新薬である「アイモビーグ皮下注 70mgペン」(一般名;エレヌマブ)が承認されました。
注射薬という点ではエムガルティと同じですが、作用機序は異なります。
◎機序
片頭痛の原因とされるCGRP(カルシトニン関連ペプチド)は、頭痛発作時に多く出現する物質です。アイモビーグはCGRPを必要な分だけ取り込む受け皿(受容体)に蓋をすることで、片頭痛発作を抑えることができます。
◎効果
①片頭痛の発作回数の減少
②発作時の内服薬の減少
③片頭痛による痛み、日常生活への影響が軽減
◎アイモビーグの特徴
・片頭痛患者様における64週後の片頭痛日数50%減少率は64.8%
・海外で先行発売されており、5年の長期投与試験により安全性が確認されている
・抗体製剤の中でも、アレルギー反応や効果減弱が少ないとされる「完全ヒト化」製剤
・初回から1本の注射でOK
◎使用方法
①4週間に1回皮下注射を行います。
②注射部位はお腹、太もも、腕のいずれかです。
③まずは3ヶ月注射を続け、効果判定を行います。
◎費用
保険適応です。3割負担の方で1本12,400円となります。
◎副作用について
主な副作用としては、便秘や注射部位反応(痛み、腫れなど)、傾眠などが報告されています。
いずれも当院で使用可能となりましたので、お気軽にご相談ください。